2017年11月22日

米ハーバード大学が日本史を教材に使用している理由は…


先日(11月20日)の読売新聞に「ハーバード大 教材に日本史」という興味深い記事が掲載されていたのでご紹介いたします。

米ハーバード大で日本史がどう教えられているかを教授、学生に取材した『ハーバード日本史教室』(中公新書)という書籍が刊行されたそうです。

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著者の佐藤智恵(作家・コンサルタント)氏によると、日本史が通史の授業だけではなく、経済学、文化人類学、環境史、経営史、リーダーシップ論など、様々な授業でテーマとして取り上げられているのだとか。

例を挙げると、「民主主義と人権」という授業(アマルティア・セン教授 ノーベル経済学賞受賞)では聖徳太子と「17条憲法」が、文化人類学の授業では和食の歴史など、環境史では東日本大震災、経営史では三菱グループの創業者、岩崎弥太郎、リーダーシップ論では昭和天皇の「終戦の詔書」がそれぞれ教材になっています。

通史の授業を受ける学生のあいだで特に人気があるのは、「忠臣蔵」で知られる赤穂浪士の事件。合理的なアメリカ人でも「大義のためにすべてを犠牲にする姿」には感銘を受けるのだそうです。

経営史を教えるジェフリー・ジョーンズ教授は「アメリカは不確実性の高い時代を迎え、学生の間で歴史から学びたいという機運が高まっている」と述べ、その中でも特に歴史の長い日本から普遍的な知恵を学び取ろうとしているのではないか、ということです。

おもしろいですねえ。日本人にはわからない、というか、気づかない日本の文化や歴史の魅力や価値が、ここ数十年のうちに外国人によって見出されるという現象が起きています。外国人にはわからないだろう、という我々の先入観がどんどん崩されているのですね。

豆腐は味が淡泊すぎて、外人、とくに西洋人の味覚には合わないと思っていたら、最近、米国でも豆腐がダイエット食品・健康食品としてブームになっているのだとか。味にクセのある味噌もまたしかり。寿司やラーメンは言うまでもなくすでに人気の日本食ですし、蕎麦も人気になりつつあります。

でも、食文化だけでなく、日本の歴史そのものに興味をもってくれるのは、歴史サイトを持つ私としては大変うれしいことです。まあ、忍者・侍とかは以前から関心を持たれているようですが、もっと具体的な歴史上の事件や人物に興味の対象が広がっても、驚くことではないという気がしています。

たとえば、リーダーシップ論でいえば、戦国時代の信長・秀吉・家康を取り上げて、三者の特徴を語っている言葉を紹介すれば、学生は興味を持つかもしれません。

「鳴かぬなら殺してしまえホトトギス」は信長、「泣かぬなら鳴かせてみせようホトトギス」は秀吉、「鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス」は家康、と天下をとった三人の武将の特徴的表現を紹介して、あなたはどのタイプか、どのリーダー像に惹かれるか、などと学生に問いかけるのです。

強引だが実行力あるリーダーか、自信家で説得力のあるリーダーか、機が熟するのを辛抱強く待って風雪に耐えるリーダーか?

こんなふうな切り口で語ったら、日本史もなかなか面白い、と改めて思い、ではこの三人はいったいどんなことをしたのか、とさらに興味を深めるきっかけになるかもしれませんね。

他にも、やはり『幕末・維新』の歴史は語りようによっては、ドラマ以上にドラマチックな印象を与え得るのではないでしょうか。高杉晋作のたった一人の蹶起から始まる長州内戦の勝利とか、桂小五郎と彼を支える芸妓幾松の逃亡と再会の危機感いっぱいのリアル・ドラマなど、外国人の学生たちにぜひ紹介したいものです。

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「おもしろき こともなき世を おもしろく」(晋作)してくれた人たちは、他にもたくさんいるでしょう。

国際社会では、西洋の歴史ばかりがメジャー視されて、注目されるのでしょうが、近年はフィギュアスケートでも、スキー競技でも、東洋の国・日本が強みを見せてきました。ですから歴史・文化においても、いつか日本が外国で当たりまえに学ばれ、話される時がくるかもしれませんね。

日本食はすでに国際化されていますし、我々の気づかない日本の魅力はまだまだ発掘されそうです。

posted by orion at 15:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 歴史
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